日本全国いたるところで、ふつうの日本人が別姓選択制を望んでいます。
=====
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/iwate/news/20070112ddlk03040093000c.html
男と女の狂詩曲:変わる“らしさ”20年/8止 夫婦13年 /岩手
■結婚
◆夫婦13年--川井村・山代陽子さん、奥畑充幸さん
◇別姓のため事実婚です
◇「姓だけでなく自分が変わってしまう」--反対派「家族の一体感、崩壊する」
早池峰山の麓(ふもと)、川井村タイマグラ。山代陽子さん(38)は籍を入れずに同居する内縁の夫の奥畑充幸さん(45)と民宿「フィールドノート」を営む。夫婦別姓の事実婚として同居生活を始めてから13年。「とと、かか」。長男の大木君(11)ら3人の息子が両親2人に甘える様子は同姓夫婦と何ら変わりない。
充幸さんは26歳の時にタイマグラで民宿を始めた。出版社の女性誌編集部で働いていた陽子さんと充幸さんは民宿の客と主人として出会い、1年間の交際後に充幸さんからプロポーズした。陽子さんの返事はOK。ただ一つ条件があった。「別姓にしたい」
結婚すると女性の名字が変わる、と考えていた充幸さんは戸惑った。
「結婚すると無意識に男性の姓になることに抵抗感があった。自分の姓がただ変わるだけでなく、自分そのものも変わってしまう気がした」と陽子さん。2人の話し合いは続き、陽子さんの熱心な説得に充幸さんが折れた。「自分は二十数年間、奥畑として生きてきた。もしそれを結婚で変えるなら嫌やった。だから理解できた」
法的な別姓導入について政府が行った世論調査では、87年に容認13%、反対66%だったのが、01年には容認42%、反対30%と初めて逆転した。世論の流れは確実に変化しているが、反対派は「家族の一体感が崩壊する」と主張する。それを2人はこう笑い飛ばす。「姓を別にするくらいで崩壊するなら遅かれ早かれ別れるよ」
そうは言っても、である。法的に認められていない別姓は生活上の不便が少なくない。盛岡市の会社員、西村敏和さん(36)と司会業の中村悦子さん(37)は別姓の事実婚で同居生活を送るカップルだ。結婚当初は籍を入れ、悦子さんが改姓して元の姓を通称使用していた。しかし悦子さんが「自分のアイデンティティーである元の姓に戻りたい」と書類上の離婚をして事実婚へ。その結果、さまざまな障害も生じた。敏和さんが勤務する会社から支給されていた扶養者手当を一時打ち切られた。交渉して認められたが、他にも相手が死んだ場合に法定相続人になれないといったことがいくつもあるのだ。「女のわがままだ」との声も聞こえてくる。それでも悦子さんは別姓をやめるつもりはない。「女性が改姓するのが悪いとは思わない。ただ、選択肢の一つとして別姓を認めてほしいだけなんです」【岸本桂司】=おわり
◇通称使用広まる--岩手大人文社会科学部助教授・竹村祥子さん=写真
夫婦別姓の法的な導入はまだだが、姓を変えると営業面で支障が出る民間企業が以前から旧姓の通称使用を認めていた。数年前から大半の公的機関でも認められるようになり、実質的に夫婦別姓が可能になってきた。現在の夫婦別姓に関する世論は、総論賛成、各論反対。つまり自分以外では認めてもいいが、自分はやらないというもの。実質的な別姓の広まりによって、結果的に民法改正のニーズがそがれてきた面もある。
毎日新聞 2007年1月12日