私は40代で結婚しました。二人姉妹の長女で、男兄弟がないことが結婚の障害になりました。妹は今も独身です。1990年当時、夫婦別姓の法制化へ前進しそうな機運が高まり、それに期待しつつ、清水の舞台から飛び降りる決心で長男である夫の姓になりました。その後二人の子供(女、男)に恵まれました。先日、実家の相続や祭祀を考え、実家と子供の養子縁組の可能性を打診したところ、夫は結婚前の柔軟な態度を翻しました。既得権益は手放さない、ということですね。仕事一筋の夫と結婚した私は、自身の仕事を続けながら、子育て、夫の財産管理、一戸建ての家を取得するための資金繰り、更には姑の世話まで、すべてを一手にひ引き受けてやってきました。なのに、実家の姓を残す話合いには応じません。置かれた境遇によっては女性が著しく不利になる現行制度では、女性が自由に生きる権利が侵害されていると感じます。
「選択的夫婦別姓を認め」、「子供の姓は一定の年齢(18歳~22歳くらい?)に達した時に家族全員で協議して決める」ことが基本です。子供は全員どちらかの姓に統一する、というのでは、現状とあまり変りありません。また、法制化と同時に男性の意識の変革が必要だと思います。未だに「家制度」の亡霊が幅をきかせている。極論ですが、いっそ、男性はすべて結婚後女性側の姓を名乗るという法律を作って、それがいかに理不尽なものか、男性に実感していただきたいものです。私は今、藤村の「夜明け前」を読んでいますが、当時は養子縁組がごく日常的に行われ、家系を絶やさない装置があったことがわかります。現在の、結婚すれば男性の姓になり、養子縁組も困難、というのでは女性の人生はとてもつらい。選択的夫婦別姓を認めることにより、結婚の障害が取り除かれ、結婚数が増えるのではないかと思います。
【愛知県在住・50代・自由業・女性】