■他制度に影響も
その後欧米では事実婚の増加などから、60年代以降に差別撤廃が進んだ。韓国や社会主義の中国にも区別はなく、主要先進国で規定が残るのは日本だけ。国連はこれまでに計10回、日本に是正を求める勧告をしており、いわば外堀も埋められた形になっていた。
家族制度を巡っては近年、夫婦別姓制度や同性婚の是非、女性に限って離婚後180日間の再婚を禁じた規定の合理性などが議論になっている。いずれも賛否両論の対立が解けておらず、制度改正に向けた手続きは膠着したままだ。
最高裁が今回、日本社会で個人の尊重が進んでいると明確に指摘し、社会情勢や国民感情の変化と照らして法律の合理性を吟味したことは、こうした状況に一石を投じる可能性がある。個の尊重と旧来の社会制度との折り合いをどうつけるのか、改めて議論が活発になりそうだ。(抜粋)