夫婦別姓選択制実現協議会

2001-2006年の活動と成果

(1)自民党議員に私たちの声を伝える(2001年夏~)

衆議院議員定数は480名ですが、このうち自民党議員だけで過半数を超えてます。法改正は自民党議員の賛同なしではありえません。このため私たち協議会は設立当初から野田聖子議員のご指導を賜りながら、自民党の議員の方々に私たちの声を届るべく、メールを書いたり、お手紙を書いたり、ご挨拶に行ったり、とにかく頑張りました。
野田聖子議員らに紹介議員になっていただいて、154回国会(常会)の法務委員会にに提出された約2907名の署名による「民法改正による夫婦別姓も可能な制度導入に関する請願」は私たちの会員が一所懸命集めたものです。
紹介議員になって下さったのは、

受理渡海 紀三朗君
受理番号 4696号 上川 陽子君
受理番号 4825号 熊代 昭彦君
受理番号 5308号 伊藤 達也君
受理番号 5502号 伊藤 公介君
受理番号 5503号 菅 義偉君
受理番号 5957号 野田 聖子君
受理番号 6113号 石井 郁子君
受理番号 6950号 池坊 保子君
受理番号 6951号 菅 直人君
受理番号 7095号 白保 台一君
受理番号 7096号 野田 聖子君
受理番号 7097号 保坂 展人君

(2)自民党内に賛成議員が増加(~2002年半ば)

第1次小泉内閣で入閣した森山眞弓法務大臣は夫婦別姓賛成派でした。森山大臣は政府提出による夫婦別姓法案の成立に向けて積極的に取り組んで下さいました。野田聖子議員も新聞やネット、テレビなど各メディアで積極的に賛成の発言をして下さいました。自民党議員の山本明彦先生は国会の法務委員会での代表質問で賛意を表明して下さいましたし、同じく自民党の笹川尭先生は私たちのネット連載記事であるカモミールに賛成の意を寄稿して下さいました。野田聖子議員のHPでも紹介されていますが、自民党内に「例外的に夫婦別姓を実現させる会」というのができ、45名もの自民党議員が名前を連ねて下さいました。

(3)期待と失望(~2004年)

2001年秋の臨時国会時の自民党法務部会では政府提出法案としての選択的夫婦別氏制導入が検討され、その翌年の通常国会では、選択的という文言が誤解を招き易いという指摘を受け、同姓を原則としながら別姓を可能とする「例外的夫婦別氏法案」が自民党法務部会で検討され、私たちの期待は高まりました。ところがこれらの法案はすべて一部強硬な反対派議員によって断念させられました。

別姓での婚姻届を一日も早く出したいという私たちの強い願いを踏みにじってはならないと、野田聖子議員は実現させる会の議員の方々とともに、自民党による夫婦別姓法案、いわゆる家裁の許可を要する例外的夫婦別姓法案を議員立法として国会に提出するべくご尽力下さいました。この自民党議員による例外的夫婦別姓法案は法務省案(政府提出法案)に比べると家庭裁判所の許可を必要とする制限的条件があり、内容的に後退したと評されましたが、それでも本当に困っている人にとって救済の道が開けるということで野田議員はじめ実現させる会の議員の方々は力を尽くして下さったのです。

自民党内で大きな声を上げて反対する議員が数人いたため、議員立法案は党内の法務部会で了承されず、しばらく棚上げになっていましたが、2003年11月の衆議院議員選挙の直後、私たちの期待は再び高まりました。反対派議員の先頭で旗を振っていた高市早苗元議員や太田誠一元議員が落選したからです。

しかしながら、他方で、実現させる会のメンバーではないものの、困っている人がいるならと夫婦別姓選択制の導入に理解を示して下さっていた野中広務議員が引退し、山崎拓議員、加藤紘一議員、橋本龍太郎議員などもかつての勢いを失ってしまいました。こうして自民党議員主導による夫婦別姓選択制の実現の期待は、2001年から2003年にかけてぐっと高まり、2004年に入って急速にしぼんでしまったのです。

(4)草の根の努力の継続(~2005年8月)

実現させる会による立法化が手詰まり状態となってしまうなか、私たちの会は夫婦別姓選択制法制化の火を消さないように、頑張りました。2004年12月には夫婦別姓の法制化を求める緊急院内集会を司法書士女性会とともに共催し、小泉総理への公開質問状を採択、自民党党本部に公開質問状を提出しました。年明けの2005年1月には、司法書士女性会が首相官邸訪問を実現させ、細田官房長官から「個人的に賛成」という意思表明を引き出すという成果をあげました。さらに2月には再び院内集会を司法書士女性会とともに共催し、とにかくこの問題を議員が忘れることのないよう、要望の声があるのだということを継続して訴え続けました。ところが、たいへん残念なことに、そのような地道な努力の継続のカウンターをゼロに戻しかねない大きな出来事が起こりました。それが9月の解散総選挙です。

(5)解散総選挙による地殻変動力(2005年9月~)

今回の選挙に関して残念だったのは、国民の関心がマスコミによって郵政民営化に主に仕向けられ、夫婦別姓などマイナーな争点はまったく取り上げてもらえなかったことです。当会でもアンケート調査を取ったり、会員に呼びかけたりと出来る限りのことはしたのですが、解散総選挙が急で、準備が十分にできなかったため、情報発信や組織的活動が思うようにできませんでした。さらにいっそう残念だったのはその選挙の結果です。一方で、これまで夫婦別姓選択制の実現に向けて多大な努力をして下さった私たちの会の顧問、野田聖子先生がみなさんもご存知の通り、郵政民営化をめぐって自民党離党を余儀なくされました。他方では、何名かの夫婦別姓制度に反対の議員が自民圧勝の追い風に乗ってカムバックしました。

夫婦別姓法律婚制度の法制化をめぐる客観的状況はこのように悪化していましたが、私たちはそのような中にも希望的要素を見出そうと努力してきました。 自民党内でこれまで夫婦別姓でも婚姻届を出せるようになる制度を法制化しようとこれまでご尽力くださっていた松島みどりさん、笹川尭さん、山本明彦さん、上川陽子さん、河村建夫さん、菅義偉さんなどが当選なさったことは言うまでもありませんが、その後メールや事務所訪問などを通じてアプローチを重ねるうち、今回の選挙で「刺客」または「小泉チルドレン」と言われた新人議員の先生達の中にも、夫婦別姓選択制に理解ある人がかなりいることがわかりました。そこで、私たちの会ではこの1年間、これらの賛成派の議員の方々に私たちの要望を伝えるべく地道な努力を行ってきました。

(6)安倍内閣の誕生(2006年9月~)

そのような私たちの努力をあざ笑うかのように誕生したのが9月に誕生した新内閣です。安倍内閣で起用された女性閣僚のうち、山谷えり子内閣総理大臣補佐官(教育再生担当)はネット上でも著名な夫婦別姓反対派議員で、高市早苗内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策・科学技術政策・イノベーション・少子化・男女共同参画・食品安全)は第154回国会で夫婦別姓反対の請願署名の紹介議員としてもっとも積極的に選択的夫婦別姓制度の成立に反対した議員です。ちなみに、同国会では、長勢甚遠現法務大臣、伊吹文明現文部科学大臣、松岡利勝現農林水産大臣も夫婦別姓反対の請願署名の紹介議員となっています。夫婦別姓の法制化の問題がしばしば男女共同参画や教育(子供への影響)などと結び付けられて議論されること、法務大臣が法制化の可能性の重要なキーパーソンとなりうることを考えると、上記のような内閣の布陣はは法制化にとって非常に不利です。安倍総理自身は夫婦別姓に対する立場を公的には表明しませんが、安倍総理のブレーンといわれる八木秀次教授(高崎経済大学)は夫婦別姓の法制化に強く反対しており、また、山谷えり子議員などを厚遇しているところなどから見ても夫婦別姓の法制化を推進してくれることにほとんど期待は持てないと言ってよいでしょう。

別姓法制化を待ち望むみなさんへ

夫婦別姓を選択できるようになる制度ができるのを待ってるのに、何故できないの? そんな疑問を持つことありませんか?

夫婦別姓の制度を待っているけど、黙っていてもそのうちできるだろう・・・そんな風に考えていませんか?

黙っていても制度が自然にできることはありません。実際の法律を作るのは国会議員です。国会議員は国民の代表ですが、国会議員は国民からの要望や圧力がなければ動きません。

私たちは夫婦別姓制度の実現を本気で望んでいる人が集まって作った団体です。制度の実現のために私たちの声を国会議員に伝えようと精一杯頑張っています。

夫婦別姓制度の実現を望む方、私たちと一緒に法案実現のため努力してみませんか?

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